director's voice

Honda Silk Works 本多祐二さん、さくらさん

Q
Honda Silk Worksさん、
工房からの風にはどのような作品を出品くださいますか?

A
絹のストールを出品致します。

今年の春繭からは太目の糸を挽き、撚りをかけずに織ったふっくらとしたストール、
草木の色や、糸の凹凸を活かした手触りの気持ち良いストールを中心に出品致します。

ハレの日も、日常のケの日も愛用して頂けるシンプルなストールを制作しております。
絹の持つ強さと温かさ、しなやかな肌触りを感じて頂けたら嬉しいです。

葛 (600x800)

Q
Honda Silk Worksさんにとって、
工房からの風は、どんな風でしょうか?

A
出展が決まってから、それはもう色々な風が吹きました(笑)
しかし、この移り気な風も私達を成長させてくれる大切な風だと感じています。
色々な風が吹いたからこそ、一度立ち止まり考える時間ができました。
当日が楽しみです!

小鮒草×藍 (800x600)

Q
Honda Silk Worksさんの初めての「ものづくり」は、なんでしょう?
印象的なもの教えてください。

A
この質問を受けて思い出し、自分でも驚いているのですが
初めての「ものづくり」として印象に残っている物は「織物」です。
子供用の小さい織り機で祖母と毛糸の敷物を作りました。
玄関で花瓶敷きとして使って嬉しかった気持ちが掘り起こされました!

野いばら×五倍子 (800x600)

4月、第一回目の今年度出展作家全体ミーティングのとき、
Honda Silk Worksの祐二さん、さくらさんは「時の人」でした。
お蚕を飼うところからの布づくりだということに、
他の出展作家も興味津々になったのでした。

どの出展作家も手のかかる、地味な作業を取りこんだ制作をしている方ばかり。
それでも、さすがに養蚕から行っているとは!という驚き。
そして、それを淡々と普通のこととして話される姿、
おふたりが1980年代の初め生まれの若さだったこと、
ああ、こんな人たちもいるんだなぁーという
喜びのような共感が広がったのでした。

それから数回、市川まで遠く秩父の里から、
さくらさんが何度も訪ねてくださいました。
工房からの風に集った作家たちが蔵している何か
(それはテクニカルなことよりも、パッションのように感じましたが)
に触れよう、吸収しよう、という意欲だったのでしょうか。

染織の学校などからこの道に入ったのではなく、
養蚕農家の手伝いをしたことから進んだ布づくり。
だからこその野に咲く実生の草花のようなたくましさと、
オリジナリティーがふたりの布の魅力です。

とはいえ、布づくりの道は始まったばかり。
どういう糸を作るのか、どういう色に染めるのか、どういう布に織り上げるのか、
ゆく道は遠く遠く先に続いています。

一方、若い二人が養蚕をすることなど、特殊な要素があることなどから、
その部分を取り上げられての興味関心を持たれることも多いでしょう。
ライフスタイルとしてだけ取り上げられ、消費されてしまうことを、
本能的に遠ざけているような姿勢が、とても印象的でした。
ふたりが求めていること、目指していることは、もっと本質的なことなのだと思います。
そのための養分を、きっと今回の「工房からの風」から吸収しようとされているのですね。

出展が決まってから、ぐんぐん進化した布との出会いがとても楽しみです。

Honda Silk Worksさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜
galleryらふと奥の岩があるエリア。
若きふたりの作り手が手掛けだした地に足の着いた瑞々しい布に、
ぜひ触れてみてくださいね。