director's voice

松村淳さん(ガラス)

美しいガラスのオヴジェを制作する松村淳さん。
7月に日本橋三越本店で行ったプレイベントでも
とても好評をいただきましたね。

Q1
松村淳さん、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?
その中で、特に見ていただきたいものがありましたら、加えて教えてください。

A1
ガラスのオブジェや装身具などを出品いたします。
私は窓に使用される工業用板ガラスを何枚か重ねて貼りあわせたあと、
切削や研磨をして仕上げる積層ガラスの手法を用いて制作しています。

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今回は今年の「工房からの風」のビジュアルテーマである
「木」をモチーフにした作品や、
移り変わる季節の寂寥の風景をイメージした作品に力を入れました。
積層ガラスならではの奥行きある透明な空間のなかで記憶を辿り、
静かな時間を過ごしていただけると嬉しいです。

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写真とはまた違った独特の表情をもった作品。
野外ではどのように皆さんの目に映るでしょうか。
陽の光にも恵まれますように!

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心に中で大切にしている映画、
いずれかを教えてくださいますか?

A2
大切にしている本はいくつかありますが、
一番アトリエで多く開いたのは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」です。
何度かモチーフとしてオブジェ作品を制作したこともある物語です。

発行から80年以上経った今も多くの人々が愛し研究し続けられている物語ですが、
私は孤独や哀しみを静かに抱いている登場人物たちや、
彼らの纏う慎ましい優しさに心惹かれます。

ジョバンニがお母さんへ声をかける言葉、
カンパネルラがジョバンニを思う気持ちなどのひとつひとつが優しさに満ちています。
銀河鉄道の夜に限られていませんが、
物語の文体から賢治の生き物や自然への眼差しが
温かく慈しみをもったものであると感じます。

制作する上で大切にしている静けさや孤独、
哀しみについて考えることはこの物語から多く影響され、
私の原風景として広がっています。
ちょっと立ち止まりたいときやなんとなく穏やかでないときなどに開き、
心静かに制作に臨めるよういつもアトリエに置いています。

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松村さんのガラスはけっして饒舌ではない分、
その奥行にさまざまなものが詰まっていて、
観る人の想像力を膨らませてくれるのではないでしょうか。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
10年ほど前、当時は友人だった今は夫からもらったプッシュパペットです。

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プッシュパペットは中にテグスや糸が張ってあり、
底部の板を押すと糸が緩むことで台の上の人形が
くたっとした姿になるおもちゃです。
ヨーロッパ旅行のお土産としてもらいました。

木のぬくもりや牧歌的な雰囲気も味わい深く愛おしい。
私も旅先で購入するなど少しずつ集めています。
飾っているだけでもかわいらしいですが、
プッシュパペットの魅力は押さえる力を緩めるときに緩んだ糸が
またピンと張りシャキッとしたように元の姿にもどるところ。

単純ながら何気なく触っていると私もシャキっとしようと元気をもらえます。
そっと励ましてくれる大切な存在です。

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こちらも素敵なお話ですね。
プッシュパペットって知りませんでした。
木の玩具ならではの趣きもいいですね。
画像をいただくと、読者の皆さんにも伝わりますね。
ありがとうございます!

松村淳さんの出展場所は、おりひめ神社の近く。
ホームページはこちらになります。
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