「工房からの風」には、出展経験があり、企画運営に加わってくださる作家の方々がいらっしゃいます。
風人(かぜびと)さんとお呼びしています。
今回は、風人作家の本間あずささんから寄せられたメッセージをお届けします。
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「凪ぐ浜の宝もの」
というのは、嵐、大波が去ったあとの「静かな浜辺に残された宝もの」
を、イメージしています。
以前、私自身が「工房からの風」が終わってみて、思いがけず目の前に、心の中に現れたきらりと光る想いと出会ったので、このようなカテゴリーを設けました。
ここに掲載するのは、5,6名の作家の方からの予定です。
皆さん、私宛の私信なので、その一部を掲載許可を取ってお載せします。
まず、シンガリ!?として、あずささんより。
本間あずささんは、大野七実さん、岡林厚志さん、吉田慎司さんと組んで、「風人テント」を担当してくださいました。
「つくるひとの手−工房からの風景 」
として、6名の作家からの文章をご紹介することで、作り手の心の一端をひろやかに伝えられたら、、という試みです。
その中で、まるで本の頁をめくるように、製本のアイデアも生かして文章を掲出してくださったのでした。
・・・今年、手渡していくこと、つないでいくこと、時間の積層ということを強く感じた会でもありました。
ものはいつか形をうしなう、そして人も。
それでも、美しいものを作ろうと、人は手を動かす。
美しいものに触れて心が動いた記憶、人と一緒に紡いだ想いはずっと残り、受け継がれていく。
ものを作っているけれど、本当に作っているのは人と人の関係性でもあるのかもしれません。
その場に関われることは、かけがえなく幸せなことだと思います。
トークイベントの冒頭に稲垣さんがおっしゃっていたように、まさに。
私が本を作っていて、本が好きな理由は、本がタイムマシンのように、時間を行き来する装置だからでもあります。
そして、工芸作家が作る作品も、人の記憶をとじこめる装置なんだな、と。
作品を媒介に、人の心が動き、その人がいなくなった後も美しい記憶を伝えられるものが作れたら、なんといとおしいことでしょうか。
時間をかけてしか分からないことはたくさんある、と思います。
工房からの風の出展の後、劇的に何かが変化することは少ないかもしれません。
けれどここで得た思い、気づきが心の奥深くに沈んで、その時の興奮が持続しなくても、数年後にふと芽を出し、次の過程にきっと繋がると思います。
私自身、初出展から7年を経てこうして皆さんとご一緒できていることに驚きと、喜びを感じています。
大切なことは時間をかけて知っていくもの。
手で作る時間の中にいる人たちは、皆その想いを心の中に持っている。
・・・本間あずささんからのメールより一部
本がタイムマシンのように、時間を行き来する装置・・・
工芸作家が作る作品も、人の記憶をとじこめる装置・・・
「工房からの風」は工藝、クラフトの野外展ですけれど、
続けていく原動力として、「感じる力」「考える力」も大切に思っています。
「風人テント」は知のテントとして、「工房からの風」を重層的に育んでいるのですね。
では、次からは、今年の出展作家の方からの「凪ぐ浜の宝もの」を、一緒に感じてみましょう。