director's voice

いのちの不思議が知りたくて

「春に触れる」
Anima uni(金属)・ 佐藤亜紀(染織)・ studio fuijno(木工)
の3人展。前半の土日が終わりました。
後半は、金曜日から土日と合わせて3日間。

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Anima uniさんは、大学で海洋生物について学び、
同時に英語も堪能で、
ファインアートを学ぶためにロンドンに渡り、
帰国後は彫金の技術を学びなおして、今、装身具を作っている。

「いろんなことをされてきたんですねー」
と尋ねる人の言葉に
「でも、やっている目的はひとつなんですよ。
いのちの不思議が知りたくて」

ああ、そうだ。
そういうことだ。

寒空の下にうずめた球根からぐんぐん緑が伸びて、
さまざまな色や形の花がほころぶ。

草むらがくしゅくしゅっと揺れたと思えば、
目覚めたとかげが目の前をかけ抜けていく。

実ったかぼちゃの種からかたちを起こして、耳飾を作る。
手折ったびわの葉っぱで染めた糸で、布を織る。
埋もれて灰色に年を重ねた杉の木目を愛でて、箱を作る。

そんなつもりで明確に企画した訳ではなかったけれど、
気づけば同じような心を持った3人の仕事が集っていた。

ギャラリーの周りでは、桜のはなびらがそよそよ。
そして、くるくる。
土に還って、再びいつかの空の下に舞う、
はなびらの色となるのだろうか。
ひとのおもいや、つくられたものも。