director's voice

竹村聡子さん(陶芸)

稲荷社の脇で淡い色調に銀彩が施された器を展示していた
長野県で作陶する竹村聡子さんからもメールをいただきました。
一部、竹村さんの許可をいただきこちらからもご紹介します。

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月曜日の夜に無事帰宅し、
ほっと安心した途端に半年間の緊張の糸がぷっつりと切れて
そのまま一日半倒れていました。
今は徐々にいつもの生活に戻りつつあり、
二日間あの憧れの場所に立って実感した
尊いあれこれを頭の中で整理して紙に言葉で書き起こしています。

本当に風の如くあっという間に過ぎ去った二日間でした。

念願の工房からの風への出展、
初の野外展示、作風の変化などなど、、、。
始まるギリギリ直前までは全ての要素が不安でいっぱいで、
よく夢でもまんまとうなされていましたが、
当日は沢山の方々に展示を見ていただき、
器をお手にとっていただくことができました。

何度も足を運んで下さる方や興味をもって話しかけて下さる方がいたりと、
様々な反応を直接得ることが出来、二日間ずっと楽しく笑顔でいられたように思います。
私自身もこの半年間で新たに作った器たちを漸く客観視ができて、
自然と次の目標や作りたいものの構想などが湧いてきました。

二日間を終えてこの半年間を振り返ってみたときに一番に感じたのは、
心ある応援や手助けをして下さる方々が
自分の周りに驚くほどに増えたということです。

今までにないほど本気で制作に取り組んでいたからか、
周りの方々がまるで自分のことのように親身になって応援をしてくださったり、
励まし支え続けてくださいました。
共に高め合い尊敬できる作家の仲間も増え、
その事が私にとってこの半年間の一番大きな変化と得られたものだった気がします。
皆様のおかげでいつも心強く、
逃げずに思い切って前進することができました。
自分一人の力ではなく沢山の方々のお力添えのおかげで
生み出せた器だなと気づいたら、
自分自身や器たちをもっと肯定しようと素直に思えました。

自分の制作にとことん向き合った半年間は、
まだまだだなぁと思い知らされることも数多く、
「花風」の「花」が咲くのはまだまだ先のようですが、
これからももっとずっと作り続けていきたいとまっすぐ思いました。
そして手を動かしものを生み出す仕事をしていることに改めて幸せを感じました。

工房からの風に関わる全ての皆様、
当日の手伝いを快くしてくれた友人達や
いつもあたたかく見守ってくれている家族に、
心から感謝します。
尊い経験をさせていただき本当にありがとうございました。

・・・・

気がついたら辺りは紅葉が始まっていて、
すっかり寒くなってきていました。
月並みですが、半年間長かったですし、あっという間でした。

工房からの風の選考通過の手紙が届いた時に
嬉しさのあまりにわーーっ!!と大きな声が出て、
その直後にとてつもない不安に襲われて逃げ出したくなったことと、
個人ミーティングをさせていただく時の
「念願の場所にやっと辿り着けた!!」という感動

逃げずに乗り越えられたのもいただいたまっすぐなお言葉のおかげでした。
でも一つ、稲垣さんからの
「苦手克服よりも得意を伸ばしましょう」
の言葉から少し脱線して、
やはり苦手も少しでも克服できたら自信がつくのでは
と努力してみたくなって悪あがきして、
まんまと苦しみ結局克服もできませんでした。。。

本当に今度こそ諦めがつきました。。
得意を伸ばします!!
(「諦める」の語源は「明らかにする」らしく、
悪い言葉でないようなのでちょっとホッとしましたが。)

色々と前向きに挑戦してみようと思えるきっかけを
沢山いただけたことを本当に感謝しています。

竹村聡子

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真剣に取り組んだら、応援してくれる人がたくさんになった。
と感じられた竹村さん、同期出展作家をはじめ、
ものづくりとしての豊かな人の輪がふくらんでいきましたね。

「花風」のお話は、出展前のメッセージに書かれてあって、
印象に残っていました。
『芸の成果を「花」、それに至るまでの様々な工夫と心構えを「風」』
と。
この半年間吹き続けた風は、まさに花風の風。
そして、その風は、これからも吹き続けますね。

そして、私もこのメールで知った「苦手克服作戦」!
見事に撃沈だそうですが、「明らかにする」ということを
ご自身で思い定められたとしたら、それはそれで何よりのこと、
と思います。
それにしても、竹村さん、その端正な容姿と
ちょっとアレ?なお人柄のギャップが愛らしい方なのです。

竹村聡子さんの出展前のメッセージがこちらになります。
→ click

text sanae inagaki