director's voice

noka by -かえる裁縫室-(服)

都内でおひとりで服作りに勤しむ西田真由美さん。
かえる裁縫室という名前で活動を続けています。
今回は、そこから発展させた展開になるようですね。

Q1
かえる裁縫室さんは、
「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?
A1
秋の風景に似合う雰囲気を持つコットンやリネン生地でつくった
羽織れるアイテムや大人のサロペット、ジャンパースカートなど
素朴で静かでほんのり愛らしい「noka」シリーズの服を出品します。

「工房からの風」に向けて「noka」というシリーズ名で服をつくっています。
noka は 野花 と書きます。
辿り着いた場所でたくましく精一杯美しく小さな花を咲かせている姿に勇気をもらいます。
野の花に想いを寄せて縫った服たちです。

秋冬に向けてワンピースのようなかっぽう着もつくっています。
長袖の季節になると、わたしはエプロンをかっぽう着に衣替えします。
縫い物用とキッチン用。ほぼ一日中かっぽう着を着ている感じです。
nokaの働く服、かっぽう着エプロンもぜひ袖を通してみていただけたらうれしいです。

今回のテーマに合わせて木のボタンを多く使っていますので
ボタンにも目を留めていただけたらうれしいです。

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nokaは野花
ご自身の服作りの中でも特に新シリーズを設定しての制作は、
今展に向けてより豊かな仕事を皆さんに見ていただこう、
届けよう、という想いの表れですね。
お庭のある会場での発表、ふさわしいのではないでしょうか。

そして、かっぽう着エプロン。
作り手が使いながら完成させた形ですから、
きっと使い心地のよいものなのだと思います。
会場でぜひまとってみてくださいね。

Q2
工房でよく聴く音楽、または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
同じ映画を何度も見ることは滅多にないのですが、
ジョー・ライト監督の2005年の映画
「プライドと偏見(Pride & Prejudice)は
何回見たかわからないくらい繰り返し見ています。

1813年に出版された、
18世紀末イギリスの田舎を舞台にした恋愛小説を映像化した作品で
美しい景色のなかで主人公が着ている
素朴なドレスやローブにとても心惹かれます。
映像を止めては服の細部をスケッチしたり、
どう作られているんだろうと考え巡らせたりするので
最後まで見るのにとても時間がかかることもあります。。。

この映画の衣装が時代考証的にその時代の服として
正しいのかどうか勉強不足でわからないのですが
工場生産以前の古い時代の服や服の作り方に
興味を持つきっかけをくれた作品でもあります。
その分野のおもしろそうな洋書がいろいろ出版されているので
少しずつ集めながらちょっとしたエッセンスを
自分の服づくりに取り入れて楽しんでいます。

ピアノの音が美しいサウンドトラックも縫い仕事をしながら繰り返し聴いています。

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衣装やインテリアに注目して映画を何度も観ることもありますね。
「工場生産以前の古い時代の服や服の作り方」とは、
人が自分やわかる範囲の人のために服を作っていた時代の作り方ですね。
かえる裁縫室さんは、そのような時代の気持ちを大切に、
服作りをされているのだとあらためて感じました。

Q3
今展の隠し?テーマは草木なのですが、
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、大切にしているものや、
思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
すみません、どうしてもひとつを選べなかったのでふたつご紹介させてください。

三谷龍二さんの木の時計
三谷さんの文章に触れて、
専門的に学ぶ機会を作れなかった自分でも、
つくる事を仕事にしようと志す勇気をいただきました。
服を作り始めたばかりの頃に個展へ出かけて購入して以来、
ずっと仕事部屋の壁に掛けています。
縫ってきた時間を刻んで見守ってくれている大切な時計です。

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アトリエ倭さんの『森のスピーカー』
朝、仕事の前に静かな音楽を聴きながら
しばし何も考えず目を閉じる時間を持つようにしているのですが、
買った翌朝、初めて森のスピーカーを仕事部屋に置いて
目を閉じ音を聴いていた時に
noka(野花)にはじまり野の花にまつわることばが
次々と溢れるように思い浮かんで
思わず目を開けて言葉たちを
ノートに書き留めるということがありました。

自分がつくる服を言葉でもう少し深く表すとしたら?
ずっと探していた言葉をその朝に掴んだ思いがして
その日から工房からの風に向けて
「noka」というシリーズ名での服づくりを始めました。

日々ミシンの前で縫い仕事のお供に音を響かせてくれています。
この夏は 「夏休み子ども科学電話相談 」や
熱戦が続いた高校野球も森のスピーカーで観戦していました。

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想いを大切にされるかえる裁縫室さんらしいメッセージをいただきました。
「何も考えず目を閉じる時間を持つ」
この時間が、服作りの骨格を育んでいるのですね、きっと。
その時間の重なりに開いた野花のような作品が、
秋の日に集いますね。

noka by -かえる裁縫室-さんの出展場所は、
おりひめ神社の脇。
ホームページはこちらになります。
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