director's voice

牛平安代さん(木彫)

京都で木彫を続ける牛平安代さんからのメッセージをご紹介いたします。

Q1
牛平さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
楠や山桑の木を使った木彫りの人形やブローチを出品します。
「工房からの風」への出展を通して出会った方が、
私の作品を見て祈りを感じると教えて下さいました。
その祈りとテーマを頭の片隅において制作しています。
一草一木まで愛を注ぐ母性のような強さと
優しさを感じる作品を是非ご高覧いただきたいと思います。

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牛平さんの木彫には、どこかぎゅっと心を掴まれるような懐かしさを感じてしまいます。
それは作る速度(彫る速度)が、
牛平さんの心弾み、心澄む速度と響いているかではないでしょうか。
小さな作品であっても(だからこそ)時間のかかる制作だと思いますが、
作る人の幸せとともにある制作が続くことを願っています。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心に中で大切にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
幼少の頃に大好きだった「ちょこまかくまさんとのっそりくまさん」という絵本です。
小さなはたらきもののクマと大きくてのんびりしているクマのお話です。

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ある日ちょこまかくまさんは、朝からおうちの掃除をしてクッキーを焼いてのっそりくまさんのおうちへ遊びに行きます。
のっそりくまさんはお昼寝をした後にちょこまかくまさんが遊びにくると思ってお茶の準備をします。
そしてお庭にテーブル置いて二人で仲良くお茶をするというお話です。
ちょこまかくまさんは赤い屋根のおしゃれなおうち、のっそりくまさんは藁葺きの素朴なおうちで、
どちらの生活も二人の関係もとても素敵なのです。

私の木彫りの制作で大切にしている事は「暮らしの中で生まれる豊かな心」です。
それはきっとこの1冊の絵本から始まっているのだと思います。

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ふふ、ちょこまかくまさんのお話し、
ここでこんなにお伝えするのもなんだか、ふふふって笑ってしまいましたが、
牛平さんの想い、とっても伝わってきますね。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
私の思い出に残る草は数珠玉です。
子どもと鴨川へ遊びに行った時、数珠玉を見つけました。
ハト麦のような草の実で子どもの頃に首飾りや腕輪を作って遊んでいました。
あの時感じていた色や艶、青い匂いの記憶が鮮やかによみがえり
私は夢中で数珠玉を摘みました。

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私は京都に住んでいますが、子どもの頃は香川県で過ごしました。
田んぼの畦道や用水路、河川敷などでよく遊びました。
河口付近でしたので潮の満ち引きも海から吹く風も光も感じながら、
広い河川敷で背丈ほどある草叢の中を犬と散歩をしたり、
草花を摘んだりして遊んでいました。
今思いかえしてみるとそれはとても大切な時間でした。

先日「工房からの風」のミーティングの前に縄文展に行きました。
そこには縄文土器や土偶と一緒に貝に穴をあけただけの
シンプルな腕輪の装飾品がありました。
私は美しい貝を見つけて喜んでいる縄文人を想像しました。
美しいと感じたり創作したいという想いは
私の数珠玉へと繋がっていたのだと思うと
嬉しくてきらきらとした気持ちになりました。

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牛平安代さん、「atelierきりかぶ」と工房名を名付けて活動されています。
(なので、私はつい、「きりかぶちゃん」と呼んでしまうのです・・
皆さまも、テントで「きりかぶちゃん」ってお声をかけてみられては・・・)
弾むような心を持ったまま、手刀を静かに握るきりかぶちゃんの世界。
サイズ自体は小さくとも、その作品の蔵す世界の広さを大切に、
牛平さんならではの制作が続きますように。

牛平安代さんの出展場所は、道路側から参道に入ったところ。
galleryらふとの西側です。

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