director's voice

近藤亮介さん(陶芸)

奈良県に登り窯を築く近藤亮介さんからのメッセージをご紹介いたしましょう。

Q1
近藤さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
食器と花器を出品します。

赤い土は化粧をしたり象嵌をして活きるように。
白い土はその土の質感が活きるような透明釉をかけます。
微妙な鉄分の土は窯変が鮮やかになるような焼き方を目指して作ります。
基本的に粘りが少ない土を使っているのであまり大きなものは作れません。
比較的粘りのある土では型打ちの器を作っています。

鉄絵の皿等もあります。
ちょっと前にすぐ近所の山を崩して取れた土があるんです。
赤土も白土も耐火度がとても高いです。
今のところ焼き負けてるので、
良い具合に仕上げて持っていければと思います。

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近藤さんの器を使っています。
広島で掘った土を使って焼いたというその皿がとてもいいのです。
仕事柄たくさんの陶芸作品と出会えて、
自身も守備範囲!というか好みが広やかだと思っているのですが、
久しぶりに王道の「やきもの」に出会えたような喜びがありました。

作られる形はオーソドックスです。
というか、今っぽくはないかもしれません。
けれど、そこがかえって新鮮かもしれませんね。
人の営みの時の中で磨かれ、熟した形。
美しい姿の器です。

いただいた画像も素敵ですが、ぜひ直接目で見て、掌で包んでみてください。
土の、炎の美しい存在感を感じていただけることと思います。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
芳村俊一先生の本は定期的に読み返します。
主に土や石を探して焼くことについての本です。
自分も経験値が上がるにつれて、
以前はわからなかった内容がわかることがあり、感動します。

やきものの仕事をしていると、こういった事が多々あります。
それが大きな魅力です。

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近藤さんは自ら土を探し、堀り、陶芸用に整え、焼き上げていくひと。
志す道のしるべのような書物との出会いは幸福ですね。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
自分が独立してやきものをつくるにあたって、
先生が「木ベラ」と「竹の曲がり」という成形道具をわけてくださいました。

やきものの削りの作業をするときに使うのですが、
必ずチラッと先生のことが頭をよぎります。

先生のことをとても尊敬しています。
お陰で、使うときはいつも身が引き締まる思いです。

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現在の工藝作家は弟子入りをせずに独学で世に出る人が多くなりました。
そのことの自由さやよさも色々あるかと思いますが、
一方、弟子として修業された作家の方ならではの強みというか、
豊かさというのもあらためて思うことがあります。

先の書物もですけれど、尊敬する師をもつ近藤さんの
これからのお仕事、作るものがとても楽しみなのです。

近藤亮介さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
広場側から入ってすぐの緑の下草の中のテントです。