Q1
長野県安曇野市で作陶する藤田千絵子さmm。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?
A1
今回出品させていただくのは、日用の器や花器です。
うつぎ(うの花)色の半磁器のシリーズを中心に、土に鉱物や砂を混ぜた白、釉薬に表情を持たせた茶色、金属のような黒の、4シリーズを出品いたします。
いずれも主張しすぎないシンプルなラインを意識し、ほぼすべてロクロにて制作しています。
できるだけ手の後を残さないように仕上げていますが、手に取った時の質感や軽やかさには、手仕事ならではのこだわりを感じていただけると思います。
私は次々と新作を生みだせるタイプではなく、じっくりと形にしたアイテムを長く大切に作っています。
独立以来、一貫して変わらないことは、「素朴で使いやすい器」を心がけて、ひとつひとつ丁寧に制作するということです。
それは、自分自身が使いたい器、身の丈にあった器、という想いが原点になっています。
そしてその器が、手に取ってくださる方にとって、特別ではなく、「おだやかな時間」「おだやかな暮らし」を共にできる道具として静かに在ることができれば嬉しいです。
Q2
藤田さんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。
A2
道具ではないのですが、工房を象徴するものは、窓の外に広がる北アルプスの風景です。
毎日、朝も昼も夜も、山や空や雲を眺め、鳥の声を聴き、季節を感じています。
工房にこもり時間に追われる日も、山の景色と空気で、気持ちが解放されます。
私にとって、暮らし(=制作)の一部です。
「工房からの風」の頃には、アルプスの冠雪を背景に、飛来してきた白鳥たちの声が響きます。
*写真は、これからの季節に見られる雪山の朝焼けです。
Q3
藤田さんのお手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。
A3
「工房からの風」にも出展されていた大谷哲也さんのプレートです。
やはりシンプルな器にときめきを覚えます。
大谷さんへのある取材記事に
「僕にとって器作りは、息を吸ってはき出すくらい当たり前のことで、大谷哲也という人間が朝起きて一日生活をしていれば器ができる。
だからこそ、自分が吸い込む空気を常に質の高いものにしておく努力をされている」と、ありました。
自然体でありながら、自分に軸を持っていること、
なんて素敵なんだろう、と思いました。
どんなにシンプルな佇まいであっても、そこには作り手のストーリーがある。
私は独立して17年になりますが、大谷さんのこのプレートを手に取るたびに、自分を見つめなおすきっかけをもらう気がします。
『自分が吸い込む空気を常に質の高いものにしておく努力』
哲也さんの言葉、効きますねー。
そして、それを器を通して、折々心に響かせている藤田さんの心に敬意をいだきます。。
安曇野の山の景色を心に吸い込みながら作られた静かで穏やかな器。
コルトン広場、スペイン階段前のブースで出品されます。
藤田千絵子さんのインスタグラムはこちらです。
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