director's voice

小塚晋哉さんより

おりひめ神社の鳥居のほとりで、展示をされていた
木工のこ小塚晋哉さん。
京都からお便りをいただきました。

 

こんばんは。
日に日に寒くなって朝晩は暖房をいれることもあるほどです。
関東もかなり冷え込んでいるようで、大事ないでしょうか。

あっという間の二日間。
京都に戻って、後片付けなどをしながら、
なんだかあの二日間は夢だったんじゃないか、、、そんな気もしたり。。。
なんだか不思議な心地でおりました。
けれど、確かにあの二日間は存在し、多くの貴重な経験を得ることが出来ました。
いや、あの二日間だけでなく、それまでの準備の日々からも。

普段ひとりで工房に篭り、木と向き合って日々を過ごしているため
妻以外の人と話すことがほとんどありません。
また、元々自分のことを言葉にしろ文章にしろ、アウトプットするのが得意ではないので、
工房からの風の応募用紙を埋めるので、まず一仕事でした。

妻のほうが書くことは上手なので、いろいろアドバイスをもらうことも出来たのでしょうが、
なんだかそれじゃあ意味がないだろうと思いました。
ヘタクソながらも自分の気持ちを素直にありのまま綴ったらいいじゃないかと。
それで駄目なら縁がなかったと思うしかないな。
そう思ったら、肩の荷が降りた気がしました。
結局書き上げるのに苦労はしましたが。。。

ミーティングや懇親会などでも自分の気持ちを口にする機会が幾度かあり、
口下手なりになんとかかんとか乗り切って。。。

作品を車に積んで千葉へ向かっているときは、制作の重責から解放され、
気楽なもんでしたが、初日にブースの設えをしていると、
売れなかったらどうしようという緊張が襲ってきたりもしました。
なんだかんだと二日間を乗り切り、落ち着く間もなく慌しく撤収をして
会場を後にしました。

京都への帰路の中思い返していると、
正直今回は自分のことで精一杯だったなと。

自分としては、上出来だったんですが、
企画の方々が思い描いていた予想・理想に近づいていたのか、
自分があの場所での役割を果たしていたのだろうかと。
そのあたりに考えが及んでいなかったなと。反省すべき点だなと。

そう考えると、やはり他のクラフトイベントとは全然違うんだと改めて感じました。
スタッフ、風人、出展者みんなで作り上げているんだと。

もしまた工房からの風に出ることがあるのなら、
そのときはもっと展示会全体のことに
目を配れるように努めようと思います。
作品構成にしてもブース展開にしても。
工房からの風での自分の役割を果たせるように。

工房からの風というイベントのおかげで
なんだか、自分の普段開けない抽斗をスッと開けることができた。
そんな気がします。
工房からの風というモノが持つ力なのでしょうか。
自分でも、そんな抽斗持ってたんだなと再発見しました。
その抽斗は、たぶん強引に開けられていたら不快に感じていたかもしれません。
けれど、工房からの風はむしろ気持ちよく開けるのを促してくれた感じです。

実際に皆さんと過ごした時間は、5日間にも満たない短い時でしたが、
もっともっと長い間一緒にいた印象です。
この出会いは是非是非今後も大事にしていきたい。心からそう思えました。

今後も何か機会があれば、お仕事ご一緒させていただきたいです。
本当にありがとうございました。
お疲れ様でした。
またいつかお会いできることを願っております。

木工 小塚晋哉

小塚さんは準備期間にお訪ねくださったりしましたが、
確かに無口なほうの方で、積極的にご自身から言葉で発信する方ではありませんでした。
(でも、きっといろいろ考えていらっしゃるのだろうなぁ、ということは私なりに感じていました!)
けれども、こうして、大きな波(展覧会当日)を共に体験した後、
このような率直なお便りをいただくことができて、嬉しく、ありがたく思います。

抽斗(ひきだし)のお話しはとくにうれしく読ませていただきました。
クラフトフェアの定番、慣れっこの展開では、ほんとうにつまらないですね。
「工房からの風」へは、何かひとつでも、新鮮な思いで取り組み、
その成果が感じられる場でありたいと思っています。

5日ほど、というのは、全体ミーティング2日と個人ミーティング1日と本展の2日のことですね!
他の方々とも実際にお会いするのはそれくらいかもしれませんが、
多くは濃密な印象をお互いに持つような気がします。
それは、ずっと心の中に「工房からの風」を共に置きながら、
工房であるいは、私たちはこの場で、働いてきたからですね、きっと。
年にたくさんあるクラフトフェアや展覧会の中に、こんな会があってもいいのでは!
そんな風に思っています。

これからも、ひとつひとつを丁寧に、誠実に行うことから生まれる
手の実りを楽しみにしています。