初出展の木にまつわる作り手の方を
続けて4人ご紹介いたします。
まずは、岐阜県から出展くださる金城貴史さんです。
Q
金城さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?
A
使いやすさ、耐久性を重視した、木と漆の匙。
木の匙を作り始めて、6年になります。
作り始めた当初は、見たことのないような面白い匙を作ろうと、
変わった形の匙を楽しんで作っていました。
1年ほど経ったころから、実用的な使いやすい匙へと目標が変わっていきました。
実用性を重視すると、匙は見慣れた「普通」の形へと変化していきます。
それでも残る、私の造形の感覚や癖、
また、経年の表面劣化を軽減する為に紙やすりによる研磨を行わず、
刃物にて最後まで削り上げるという仕上げの方法が、
作品の個性になってくれればと考えています。
私の考える「普通」の匙を、ぜひ手に取ってご覧ください。
経年の表面劣化を軽減する為に紙やすりによる研磨を行わず、
刃物にて最後まで削り上げるという仕上げの方法
などは、完成した作品の姿を見ただけではわかりにくいところですが、
販売時だけ見栄えがよいのではなく、使い続けられたときに、
よさがしみじみわかるもの。
そういうものが「工房からの風」にたくさんあってほしいと思っています。
金城さんのジャムスプーン。
今年の工芸都市高岡クラフトコンペティションで奨励賞を受けられたとのこと。
我が家でもヒメシャラのジャムスプーン愛用中です。
金城さんのブログから画像を一点拝借してご紹介しますね。
Q
金城さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?
A
作った物を評価される場というだけではなく、
これまでの製作活動そのものを問われているような気持ちで日々を過ごしています。
風が吹いているとするならば、私にとっては向かい風で、
これまでの道のりでどれだけ足腰が鍛えられていたか、いなかったか、
自覚する良い機会になっています。
たとえ、向かい風が強くなろうと、風向きが変わり、
強烈な追い風が吹くようなことになっても、
前後に煽られることなく、てくてく自分の足で、速度で、歩いて行きたいものです。
てくてく自分の足で、速度で、歩いていくって、大切ですよね。
他力本願で追い風を願うのも人間ぽくっていいですけれど、
やっぱり、そうなるばかりではないですもの。
佳き風がそよぐ二日間を、ぜひ過ごしてほしいです。
Q
金城さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?
A
工房名は特につけておらず、本名で活動しております。
子供の時から、何かに名前を付けるのが下手で、
昔流行したテレビゲームで主人公の名前を決める時にも、
さんざん迷った後なんだか恥ずかしくなり、
結局自分の名前を付けたりしていました。
「金城」という名字は、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
沖縄に大変多い名字です。
一クラスに3,4人はいます。
私の父が沖縄の人間で、幼稚園から小学校までを沖縄で過ごしました。
現在も実家は沖縄にあります。
「貴史」という名前については、
もともと歴史を切り拓くという意味を込めて
「拓史」という名前にしようとしていたらしいのですが、
「タクシー、タクシー」とからかわれる恐れがあるということで、
「貴史」にしたそうです。
改めて考えてみると、「拓史」にしなかった理由はよく覚えているのですが、
そこから「貴史」にした理由はあやふやです。
字画でしょうか・・・
タクシー、、、、なるほど!
金城貴史さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
galleryらふとの参道側です。
杜に佇む木の匙屋さん、のイメージでこの場所をご提案しました。
きっと、愛らしくも、実のある木のスプーンに満ちた空間が生まれますね。
金城さんのホームページはこちらです。
→ click
written by sanae inagaki