director's voice

吉田慎司さん(風人)

では、風人さんからのメッセージ、はじまりは吉田慎司さんから。
吉田さんが出展くださったのは2011年。
もう7年も前なんですねー。
20代のほうき職人現る!と、衝撃の登場でしたけれど、
その後もコツコツ&広やかに活動を続けられて、
ほうきを、そして、ほうきを使う営み、暮らしから考えるものごとを、
多くの方に広められています。
「工房からの風」においても、私にとっては哲学や文学の文脈から
この展覧会を一緒に考えてくれる大切な作り手でもあります。

Q1
吉田慎司さんは、今年の「工房からの風」では、どのようなことを担当くださいますか?

A1
「一草一木」でのデモンストレーションです。
担当、もこなしつつ、出展作家さんや工房からの風がより豊かに、
次への展開へと繋がるように後押しをしたり、風を興すのが仕事だと思っています。

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今回、おりひめ神社の奥に設けるテントは、「一草一木」テントと名付けました。
草や木にまつわる出展作家の方々の素材を展示したり、
デモンストレーションを行ったりします。
吉田さんは、このテントを中心に、素材と人の手の関わり、
人の営みについて日々考えていることを基調に、
人と人とが行き交う中で、面白い営みを展開くださると私も期待しているのです。

Q2
吉田慎司さんは、何年に出展しましたか。
その時の印象に残る体験(感想)をひとつ教えてください。

A2
2011年。
記憶に残っているのはお客様の印象ですね。
1つ言えば、3尋ねてくれるような、
深い思いと理解・関心のあるお客様ばかりで、
伝えたくてしょうがなかった自分としては、パラダイスの様でした(笑)

「工房からの風」に毎年来場くださる方には、ほんとうに工藝、手仕事に造詣が深く、
愛のある方が多いのです。
見てほしい、目に留めてほしいところこそ、ちゃんと見て、お気に留めてくださる方々。
作り手にとっては、まさにパラダイス!なんですね。

Q3
木を素材として作られたもので、心に残るもの、
または、大切にしているものを教えてください。

A3
何故か、最初に彫った木の事はよく覚えています。
小4の頃、落ちていた細い角材を削って剣
(を作ろうとしたけど、結果的に槍にしかならなかった)を作りました。
多分道具も小刀もなかったので、カッターかなにかで、1日かけて削っていました。
既製品に比べて形はいまいち。でも、自分では最高にかっこいいと思っていました。
それを翌日の帰りの会で発表したけれど誰からも、何も反応もない。

少し寂しかったような?
でも、なんでこの魅力が分からないんだ!とか、
怒ったりは全然しませんでした。
よく出来ていないのは自分でも分かっていたから。
ただその頃から、世の中には形がキレイなだけでも、
気持ちが入っていないものもある。
良い物を作っても理解されない事の方が多い。
それでも、自分の魅力的だと思うものに進む方が後悔はない。
など、色々学べた様に思います。

まあ、なんと思慮深い小学四年生!
そして、まっすぐ今の吉田さんにつながっているところがすごいですね。

吉田慎司さんはおりひめ神社奥の「一草一木テント」を中心に、
会場中で、出展作家の方々のサポートをしてくださいます。
会場内で見かけられたら、ぜひ角材の剣のことなど投げかけてみてくださいね。

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