Q1
岐阜県多治見市で木工をされる前田昌輝さん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?
A1
大鉢
その木は生まれた場所で繰り返す四季を何度も感じながら光を求めて枝葉を伸ばし風にそよぎながらその景色を何十年何百年と静かに眺めてきた。
訳あって伐採されたその木は私たちよりも多くの時間を生きてきたのだろう。その静かな、物言わぬ木と向き合い、じっくり語り合う。次に過ごす新たな時間はどんなおしゃれをしようかなと。
そんなことを考えながらひとつひとつ作り上げる器たち。
漆ストロー
真っすぐ素直に育った木にできる事はたくさんある。家具にもなれる。
私のもとに来たそんな木はストローになりました。
少し前までストローって使い捨てるのが当たり前、割りばしのような立ち位置だったのではないでしょうか?
ならば木と漆で愛着が湧いてくる捨てたくないストローを作ろうと決意しました。
箸や椀と同じく直接唇に触れるものだから口当たりが優しく柔らかで、それでいて丈夫な漆で仕上げています。
ウォーリーウッド
器などの制作中にいつも手のひらで仕上り具合を確かめていますが、
実はその感触を味わうのが至福の時なのです。
でも器として出来上がったモノは手触りに惚れ惚れするためのものではない。器には上に載せるものを受け止め引き立てるという大事な役目がある。
ならばいっそ手触りを感じるためのものを作ろうと思ったのが始まりです。
いろんな木で、いろんな形で、いろんな大きさで。手のひらで包んでいるのにその木に包まれているような錯覚すらおぼえる不思議な安心感があります。
木の持つやさしさを感じてみてください。
普段はそっと佇む、触って楽しむオブジェです。
Q2
前田昌輝さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。
A2
材木倉庫。
木たちと語り合う始まりの場所。
ここで沢山の木を眺めているとふっとイメージが湧いてくる。
湧いてくるというよりその木に呼ばれてお互いの意思が繋がる感じです。
私が作りたいものと、その木がどうなりたいのかが合わさってだんだんと形が見えてきます。
Q3
前田昌輝さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。
A3
エクアドルで見つけたクエンカ焼のお皿。
以前住んでいたクエンカの町で見つけたお皿は心が晴れやかになる色使いと手書きのデザインが気に入っています。
温和でいつも明るく人懐っこいクエンカ人を思い出させる雰囲気で、15年以上使い続けている愛着ある一品です。
『木たちと語り合う始まりの場所』
木工の方たちは、皆さん素材である木と向かい合い制作をされていますが、
前田さんはひときわその想いが強いように感じています。
縁あって手元に巡ってきた木をどのようなかたちへ・・・。
ひとつひとつのストーリーをぜひブースでご覧いただけたらと思います。
前田昌輝さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、中央部のgalleryらふと寄り。
お隣は、陶芸の飯野夏実さんのブースです。
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