Q1
「工房からの風」へは、二回目の出展となる工房まりも屋の佐竹真由美さん。
今回はどのような作品を出品されますか?
A1
木工ろくろで木を削り。漆で仕上げる。
漆器の制作をしています。
生まれ育った石川県山中温泉は漆器の産地です。
実家も漆器の問屋をしてて父親は下地(塗りの前の木地を固める作業)の職人をしています。
幼い頃から漆器は当たり前に家にあり、食卓に当たり前に並ぶものでした。
実家の家業や漆器には全く興味が持てずに、高校を卒業してからは、東京の美術大学に進学。
空間演出、インスタレーションの表現方法で作品を発表していました。
でも作品を発表する度に、『何か違う』と違和感みたいなものがあり、その違和感がどんどんと増幅していき、自分は一体何がしたいのか?何が作りたいのか?
卒業後には全く分からなくなり、自分を見失ってしまい、何もかも嫌になり1人旅に出ました。
旅の最後、久々実家に顔を出しました。
母親が父が作った漆器で、みそ汁を出してくれました。
父が作った漆塗りの器。
手のひらで器を包み味噌汁を飲んた瞬間、カミナリみたいなものがズドンと自分の中に落ちた感覚。
漆の香りと味噌の香りが混ざり合い、なんとも優しくて手のひらに伝わる温かい感触。
全てが優しくて、気づいたら涙が流れていました。
『これを作りたい』心から強く想いました。
初めての感情でした。
遠回りしたけど、自分の本当に作りたかったものは、すぐ近くにあったんだと。
旅に出て、絶望感から解放され、溶けた心だったからこそ、素直にその感覚を受け入れ、感じられたのだと思います。
全ての流れには意味があったと。
あと時の気持ちは薄れる事なく今もなお、私の制作の原動力になっています。
手のひらで包んだ時に感じた幸せ、
『手のひらの幸せ』
食する大切な時間のひと時に、少しでも多くの方々に幸せな気持ちになって欲しい。
そんな想いで ひとつ ひとつ気持ちを込めて、大切に作っています。
まりも屋のブースにお立ち寄りの際は、器をお手に取って『手のひらの幸せ』を感じて貰えたら嬉しいです。
手のひらのサイズに合わせ
色々なサイズの器たちと一緒にお待ちしています。
Q2
工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。
A2
馬(鉋台)
鉋を構える台として使います。
見習いの時に職人さんに作って頂きました。
10年以上使用しています。
馬が無いと木地挽きが出来ません。
馬に鉋を乗せてリズミカルに身体を動かす。
私の動きに合わせて、木の部分が凹み、私の動きに合った形になりました。
共に成長してきた寄り添い続けてくれてる、無くてはならない私の相棒です。
手のひらで包んだ時に感じた幸せ、『手のひらの幸せ』
明解なコンセプトは、迷い、悩み、歩いた先に出会った実は身近に存在していたものだったと。
佐竹さんのシンプルで深い想いから、形となったまりも椀。
ご自身用はもちろん、お子様からご高齢の方まで、さまざまサイズからお選びいただけます。
ころんと愛らしいフォルムのまりも椀が並ぶのは、コルトン広場スペイン階段前。
工房まりも屋のインスタグラムはこちらです。
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尚、スペシャル動画にも登場されていますので、こちらもぜひご覧ください。
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