Q1
新潟県十日町市で和紙に取り組むPAPER BRUT。
小嶋紘平さん、祐希さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品されますか。
A1
手漉き紙を出品します。
私たちは四季の移ろいや目の前に広がる風景をそれぞれの植物で表わせられたらと、紙の原料である楮の栽培や植物の採取、紙漉きを行っています。
紙は植物の繊維と繊維が重なり合うことでひとつの形となり、さまざまな表情を見せてくれます。
身近な植物や樹皮を使っての制作は、その植物の一面を垣間見るようで驚きと発見を与えてくれます。
時の重なりを表現出来たらと思って制作したシルクスクリーン作品も出品します。
ようやく訪れた春。
雪が消えた株元からおぼろげな芽が出てきたかと思うと、ひと雨降るごとに、朝めざめるごとにすくすくと育つ楮。
その楮とともに過ごした中で感じたこと、印象に残った出来事を1枚の紙に書き記しています。
他にも立体的な造形やテクスチャを感じる紙も出品する予定です。
Q2
工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。
A2
昨年の冬に作った萱簀(かやず)です。
この萱は紙漉きを始めた頃から少しずつ採取した萱を時間を置き寝かせて、ようやく簀が編める大きさの量がたまったので編んだものです。
雪かきの合間にカラコロとコマを前後に動かし簀を編み、寒くなったらまた雪かき。
はらはらと舞う雪の調子に合わせてコマをすすめていくうちに、心も体もうちにうちにこもっていきます。
自然の素材を使って少しずつ手を動かし道具を作っていく。
かつての冬の暮らしもこういう感じだったのかなと思いながら簀を編んでいたのを覚えています。
私たちが暮らす場所は冬は雪深い場所で、いつまで降り続くか分からず不安になるほどの雪と共に冬の時間を過ごします。
そこから思い通りにはならない、コントロールできないものが確かに存在すること、この雪が巡り巡って大地に恵みをもたらしてくれるという喜び、時の流れ、様々なことを私たちに教えてくれます。
Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものについて1点教えてください。
A3
家の屋根裏に眠っていたわら細工です。
飾らない中にも美しさがあり、力強さや存在感を感じます。
昔この家で暮らしていたおじいさんが農閑期の冬仕事に作っていたものだと聞かされています。
わらをなうことから始まり、さまざまな形へと姿を変えていく。
暮らしの中に当たり前に手仕事があったということ、また身のまわり植物や素材で様々なものをまかなっていたということ。
初心にかえる気持ちにさせられます。
二度目の出展となる小嶋さん夫妻。
伝統的な和紙づくりを軸に、新鮮な表現に挑戦していくチャレンジングな姿勢から生まれる作品の数々は、今展でも見応え豊かなことと思います。
出展場所は、前回と同じく手仕事の庭の手前。
和紙づくりにかかせない、トロロ葵のを育てているところです。
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