2019年10月の記事一覧

「出展作家紹介/工房からの風」New

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迫田希久さん  白樺樹皮 奈良

Q1
迫田希久さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品なさいますか?

A2
白樺の手仕事。

スウェーデンで学んだnäver slöjd(白樺樹皮工芸)。
北ヨーロッパの人々が昔から大切に使っている白樺の樹皮は水に強く生活に欠かせない資源です。
その特性を活かした昔ながらのカゴやお出かけに使えるカゴバック。
また、クリスマスに窓辺に飾るオーナメントなど。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。そして、その説明をお願いします。

A2
Mora kniv(モーラナイフ)

Mora knivは私が住んでいたスウェーデンダーラナ地方で作られている。
手工芸には欠かせない手道具で用途に合わせて5〜6本を使い分ける。
また、自作のナイフも同様である。使うほどに柄は手に馴染み、
刃も好みのカタチや厚みに変化していくことが気に入っている。

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Q3
迫田希久さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
教育機関での仕事を辞め、日本で家具の基礎を学んだ後、スウェーデンの手工芸学校に入った。
そこでnäver slöjdをはじめ手道具だけで生活の道具を作る授業に衝撃を受けた。
また、スウェーデンを語ることに欠かせない素材であるnäver(白樺樹皮)のポテンシャルの素晴らしさやその美しさに惹かれた。

そして、暮らしとものづくりがみじかなスウェーデンで生活する中で、手工芸と共に学んだ文化や歴史、言語は、本来、人が人らしく暮らすことの大切さを気づかせてくれた。
スウェーデンでの経験と手工芸との出会いは、私のものづくりにおいて大切にしていることの一つである。

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今年度の工房からの風には、スウェーデンで工藝を学んだ方が多かったのです。
それぞれの方々は同時期に同じ学校にいらしたわけではなく、
さまざまな巡り合わせの中で、今年の工房からの風で一緒になられて。
北欧に学ぼうと想われたその種火が、それぞれの方のもとで豊かにふくらんで、この場に集う。
とても不思議ですね。

白樺樹皮による作品は、スウェーデンでの用の美として愛用されてきたもの。
迫田さんの手を通して、今の私たちにどのようなかたちとなって届けられることでしょう。
その造り、風合いもぜひ触れてみていただきたいと思います。

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迫田希久さんの出展場所は、galleryらふとを参道を挟んだ旧日本庭園。
木のカトラリーなどを作る水村真由子さんと背中合わせの場所です。

インスタグラムはこちらになります。
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あをの用 藍 神奈川

Q1
あをの用さんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A1
藍の服飾小物です。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
染め場です。
藍の液にはたくさんの微生物が生息しているので、毎日気にかけていなければなりません。

藍を攪拌する為の木の棒です。
藍の液の上と下ではPHが違うので上下一定にする為と、酸素を好む菌に適度な酸素を与える為に毎日攪拌します。

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Q3
あをの用さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
東日本大震災による原発事故で、持続可能な事全てに意識が向きました。

藍は春に種を蒔いて、夏に刈り取りをし、秋から冬にかけて葉を発酵させて原料を作り、更に発酵させて染料液を作って、染まらなくなったら畑に還す。
藍染のこのサイクルは持続可能そのものでした。

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神奈川県相模原市の山間部で、藍の種まきから染めまでを一貫して行う「あをの用」さん。
広やかにさまざまな工程を関心を持つ方たちと共に行う姿勢は、
作品作り、という部分ではなく、藍を通して自然のこと、いのちのこと、生きることをダイナミックに捉えて活動されています。

(土曜日の台風で、お住いの集落では全壊のお宅も多かったそうです。
あをの用さんは、お住まい・工房ともに無事だったとのことですが、
土砂の撤去などにいそしまれて、ご苦労されているご様子。
そのような中にも、「工房からの風」には予定通りに来てくださるとお話しくださっています)

展覧会では、どうしても作品の展示販売が主になりがちですが、
工房からの風では出展者が深く感じて実行しているその営みの部分でも、
ぜひ交流していただきたいと願っています。

ホームページを拝見するだけでも、その深く広い世界に引き込まれます。
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あをの用さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、galleryらふとと参道を挟んだ旧和風庭園の奥。
こちらでも広やかに藍の世界を展開くださいます。

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アトリエカンタ 錫 大阪

Q1
アトリエカンタの新井良子さん。
「工房からの風」にどのような作品を出品なさいますか?

A1
工房からの風に出展が決まってから、今まで作ってきた作品を作り方から全て見直しました。
今持っている力でできるだけ錫の可能性を感じていただけるように、酒器を中心に花器、食器、雑貨など色々なフォルムやテクスチャのものを出品いたします。
こんな事も出来るんだ、、面白い素材だな、と思っていただけければ幸いです。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
私を一番シンプルにしてくれるのが、この行商用の背負子です。

道具のみ

これは、元舞台美術の方に依頼して作っていただいたもので、ディスプレイ台にもなります。
これを背負って出展すると、「モノと自分」ただそれだけという感じが気持ち良く、凛とします。
背負って電車移動すればそれなりに注目されますが、意外とそれ程でもありません。
そういう事を思い出させてくれるかけがえのないモノです。

道具

Q3
アトリエカンタさんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
錫をやっていきたいと思い始めたのは、やっている方が少ないからです。
その分、やり尽くされていないと感じていました。

私は、ものづくりという面で優れているとはいえないけれど、
錫を好きだという点においてはかなりいい線いくのではないか…
そう思ったのがきっかけです。

ものづくりを始めてから、色んな方に迷惑をかける事が多くなりました。
それでも笑って許して、ずっと変わらず応援してくれる。
その方々そのものが私の種火です。

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ヨーロッパでは食器の素材として広く使われてきた錫、ピューター。
日本では、お茶の味を引き立てたてると言われ、その表情のある種の寂びに、茶の湯などでも重用されてきた素材です。
伝統的な造形は熟したものがありますが、現代の私たちの暮らしの中で、素敵に心地よく使う錫の器って、もっと広がってよいように思います。

錫ならではの今の器。
アトリエカンタさんも、そのような想いもお持ちかと思います。
そのために、伝統をリスペクトしつつ、発送を柔らかにしてものづくりに励んでいらっしゃるのですね。
まずは、ひとつずつのかたちを生み出し、提案していく。
この積み重ねの中で、アトリエカンタさんならではの錫の作品世界が確立されていくのだと思います。
今展では、まずブースで作品を見て、触れていただき、その使われる姿を想像して、作家とお話をしていただければと思います。

そうそう、この魅力的なディスプレイ台も見てみたい!ですよね。
ぜひ、感想、コメントもお伝えくださいね。

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アトリエカンタさんの出展場所は、スペイン階段前です。

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フナハシトモハル さん 木工 愛知

Q1
フナハシトモハルさんは、「工房からの風」にどのような作品を出品なさいますか?

A1
曲げ木の小物入れ
生木のうつわ
彫り跡のある皿 等

生木のボウル

Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
撮影スタジオ。
制作している所ではありませんが、こちらも工房の一部と考えています。
築100年位の農家の家の2階で、落ち着いた雰囲気が気に入っています。
(自宅母屋)

撮影スタジオ

Q3
フナハシさんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物 との出会いについて教えてください。

A3
大学4年の頃に本屋で見つけた雑誌「手づくり木工事典」が、私にとっての「ものづくりの種火」でした。
いろいろな木工房が紹介されており、ものづくりへの姿勢に魅了されたのを覚えています。
地元家具メーカーに就職したものの木工への憧れを捨てきれず、
数年後に職業訓練校で学び幾つかの木工所に約20年勤め2016年に独立しました。

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二回目の出展となるフナハシトモハルさん。
前回からかなり作品構成を変化させて、豊かな出展を目指してこられました。
母屋の撮影スタジオ、とっても素敵ですね。
撮影、伝えることも制作と同様に考えられたところも、前回から進化されたことでしょうか。

オーバルボックスと花小皿

フナハシさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
銀座アスターを背中に並んだつの4つのテントの中。
北直人さんと同じ並びになります。

ホームページはこちらになります。
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北直人さん 金属 大阪

Q1
北直人さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品なさいますか?

A1
真鍮板を主な素材にして、人や動物をモチーフにした半立体作品を出品します。

学生時代は鋳造の技法で人の影が伸びたかたちをイメージし大きな立体作品を制作していました。
卒業したあとの助手時代にその作品の雰囲気で身につけられるものを作ってみようと、
金属の板からシルエットを切り出し鎚目をつけたブローチなどの制作をはじめました。

その延長で近年は、板から切り出したシルエットをコラージュした作品や謎の置物も発表しています。

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ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明 をお願いします。

A2
僕は工房にいる時間、常に音楽と一緒です。
写真は昔々に不思議なおじさんからいただいた古いアンプ。
多分僕より年上で、決していい音ではないのですが、メーターの針がぴょこんぴょこんと生き物のように飛び跳ねながら、大好きな音楽を鳴らして僕のお尻を叩いてくれます。
良き相棒なのです。

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Q3
北さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物 との出会いについて教えてください。

A3
動機は憧れだったと思います。

好きな音楽を聞いたりするととても豊かな気持ちになります。
でも高校生の時に見たあるバンドのライブがきっかけで、満足感の他に焦燥感に駆られるようになりました。

それは受け手ではなく自分も送り手の側に立ちたいという願いだったと思います。
誰しもが経験することかもしれませんが、僕はギターを買ってロックスターを志しましたがあえなくゲキ沈。
人間得手不得手があることを改めて痛感しました。

そんな折、進学した芸術大学の同級生や先輩のおかげでたくさんの美術作品に触れることになります。

グレイソンペリーの陶芸、舟越桂の木彫、加藤泉の絵画との出会いが幼少から楽しかった図画工作美術を思い出し、送り手としての表現をものつくってゆく生き方に舵を切るっかけをつくってくれました。

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今回、金属の作家の方がとくに豊かな構成になっています。
さまざまな素材、技法、作風・・。
北さんの作品は、皆さんにどのように響くでしょうか。

北さんの作品には、それぞれに作り手からのストーリーがあるようでありながら、
見る側のストーリーに広がっていくような自由さがあります。
そして、これからもっとさまざまな展開に広がっていくような予感も楽しい作品群です。

北直人さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
銀座アスターを背中に並んだつの4つのテントの中。

ホームページはこちらになります。
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鈴木恵麗子さん 陶芸 宮城

Q1
鈴木恵麗子さんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

土ものの食器や花器などを出品します。
使っているマットな白釉と灰釉は、焼くと土の成分などによって表面の色や表情が変わります。
土もいくつか種類を使っており、色々な表情が出ていると思います。
灰釉は厚くかかっている部分はキラキラとガラス質光沢があり、うすい部分はざらっとした土の触感もあります。
個人的にマグカップなどは持った時に土っぽいざらっとした感触のものが好きなので、
内側はつるりととしていて外がざらっとしたもののシリーズなど作っています。
また手びねりの器のシリーズは、たたいた時の土の動きによってできた形を極力邪魔しないで成形しています。
不規則な形と艶のあるちょっと水色がかったガラスのような質感が、水たまりや湖面みたいだと思っています。
水面を眺めているときのような気持ちを感じてもらえたらうれしいです。
ろくろの器も手びねりの器も、完成した時の土や釉薬の醸し出すもの想像しながら、それをなるべく邪魔しないように制作しています。
ひとつひとつ少しずつ違う風合いの器の中から、好きな雰囲気の物を見つけていただけたらうれしいです。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
すみません、まったく写真映えしない画像ですが…
お気に入りというか、じわじわとその良さに感動している道具です。
これは素焼きの鉢に釉薬の原料になる灰を入れて乾燥させているところで、
素焼き鉢は「吸鉢」などと呼んで、泥状の土を乾燥させたりする時にも使います。
乾燥には石膏などもよく使います。
ただ石膏だと接している面ばかり先に渇いて中が乾かなかったりするのですが、
この素焼き鉢を使用すると水分が中まで均一に乾いて、本当にちょうどいい加減に調節できる優れものです。
自然な速度で呼吸をしている素材なんだなあとつくづく感じます。

私は釉薬に灰を使っていて、今は知り合いの方から薪ストーブで出た灰をいただいています。
そのままでは使えないので、ゴミを取り除いたりした後、水簸といって灰汁を抜く工程があります。
水簸は灰に水を入れ、数週間水を交換しながら行います。最後に乾燥させる時にこの吸い鉢が大活躍します。
作品作りには欠かせない作業で、そのために最適な道具もまた土でできている…という、
なかなか伝わらないかもしれないとても地味なポイントかもしれませんが、
土を扱っているものとしては妙に感動してしまう道具だと思っています。

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Q3
鈴木さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
一つに絞るのが難しいのですが、敢えて挙げると、陶芸を勉強しに行ったスウェーデンの学校で出会った先生や友人たち、
そしてその学校周辺の景色なども含めて、体験したこと全てでしょうか。

私は仙台で陶芸を始め、本格的に勉強するためにスウェーデンにある工芸の学校へ行きました。
行ってみて感じたことは、言葉や文化が違うはずなのに、どんなに稚拙でも自分に正直な作品や表現をするときちんと伝わって、
理解してもらえるという感覚や居心地の良さでした。クラスメートも先生もとにかく自由で。

ただ、個々は自分の意思に正直で自由なんですが、きちんと協調性もあるというバランスのよい人がスウェーデンの人は多かったように感じます。
自分の意思を大切にしている分、相手の意思も同じくらい尊重するような感じがしました。
逆に言うと自分の意思を表現していないと、「何で?」と理解されないところもありました。

なので自分としてはこんな作品作っていいのかな、と迷ったり思い切って作ったりしたものこそ、ニヤリと受け止めてもらえる空気があって、
それまで感じたことのなかったような自由を感じられました。

寮生活だったので生活も共にし、よりお互いの考えが理解しやすかったのかもしれません。
先生方からも、今思い返してさらになおぐっと心に刺さるような言葉や教えてもらったこともたくさんあり、何度も思い返しています。
技術的なこともさることながら、ものづくりをする上での基本的な気の持ちようについて大切なことをたくさん教わったと思います。
また牧歌的で自然にも近い、美しい風景の数々も、記憶の中から作品に何らかの形で生かせていたらと願っています。

今では離れていますが、よき理解者たちに出会えたこと、そして大切なことを存在そのもので教えてくれた先生たちは、
今では温かく燃え続ける大切な種火であり、私を支えてくれる土台になっていると思います。

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仙台で作陶する鈴木さん。
鈴木さんもスウェーデンでさまざまなことを感じ、吸収し、今の制作、生き方に生かしていらっしゃるのですね。
北欧のすっきりとしながらも温かみのあるインテリアや、空間に似合って、
そして和のテイストが生かされた鈴木さんの陶磁器。
写真では伝わり切れない実物の素敵さをぜひご覧ください。

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鈴木恵麗子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って、ほどなくの中央部。
ガラスの手塚えりかさんと、森屋茉莉子さんの間です。

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森屋茉莉子さん ガラス 東京

Q1
森屋茉莉子さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品なさいますか?

A1
主にパート・ド・ヴェール技法(鋳造ガラス)で制作した皿や花器などの器と装身具を中心に、フュージング技法の小物等も少しお持ちします。

お皿は植物の種や実(小麦や粟など)を型取りしたり、釉薬や土、ガラスを独自で調合、装飾したブローチや花器なども特徴的です。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
右端に写っている踏み台。
初めに工房としたのは山梨の生まれ家。
岩殿山の麓、川の崖上にあり、いつも涼しい風と水の音が流れてくる場所です。
そのお勝手にいつからかずっとあった踏み台。

今はシェアアトリエの一角をお借りして制作していますが、
ほっとする存在としてこちらにも。
野外展のときに展示台として、椅子として来てもらうことも。
「ニッケ鎮守の杜」にもご一緒します。

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Q3
森屋茉莉子さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
セーターや靴下を編んでくれた祖母、
服や鞄を縫ってくれた叔母、
毎日の母の料理、
山で拾った木で魚網を作る祖父、
写真を撮り暗室に籠る父、
親戚、ご近所さんが作った野菜やお米。

物作りを楽しみ持ち寄る周りの人達から少しづつ種火を頂いたのだと思います。
そして私はパンを作る人になりました。
パン作りの種火が決して消えない確かなものになってきたと感じられた頃、
ずっとくすぶっていたガラスに惹かれる種火を起こしてみようと思いました。

今はガラスの火がなんとか消えないようにと精一杯ですが、
「工房からの風」で少しでも種火を持って帰って頂けますように、
私もしっかり火を灯し向かいたいと思っています。

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森屋さんには、先日の自由学園明日館での展示にも出品いただきました。

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右から、森屋さん、手塚えりかさん、山口未来さん。
工房からの風直前ではありましたが、広やかに新たな方々へ伝わるようにとご参加いただきました。
歴史ある美しい空間の中で、光を浴びて、3人の方それぞれの来し方や、
硝子への想い、それをかたちにする技法について言葉を交わすことが出来ました。

森屋さんはパン職人からガラスづくりへとその種火を移されてきた方。
どこかもちもちっとした?立体を感じさせるガラスには、共通のものがあるのかもしれません。
そしてガラスには、光との関係性が新たな要素ですね。
ぜひ、光とともに作品を感じていただけたらと思います。

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森屋茉莉子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って、レンガ道を進んだ先。 

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kinaka ビーズ細工 東京

Q1
kinakaさんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A1
手編みのビーズ編みがまぐちをメインに、ブローチなどビーズ編みの小物を出品致します。

作品はすべて、ビーズを一粒一粒、地から編み込んで作っています。
手洗いも可能で、丈夫で永くお使いいただけます。

がまぐちは色の組み合わせが様々な「オハナ」シリーズと、
和装にも合わせられるデザインが特徴の「マツ」シリーズのデザインがあります。

がまぐちは、ポシェット/手提げ/ポーチと3wayでお使いいただける大きめのサイズから、手のひらサイズの小物入れまで、大小かたち様々にお持ちいたします。

どこか懐かしいあたたかさと、繊細さを感じ取っていただきつつ、一生大事に愛でたくなるような一点をお選びいただければ幸いです。

作品画像②オハナ

作品画像④オハナモノトーン

Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
色とりどりのビーズです。
無限の組み合わせの中から色を選択します。

ビーズはガラスでできているので、色が透けます。
同じ色のビーズであっても、通す糸の色によって濃く見えたり薄く見えたり、別の色に見えたりもします。

複数色をあわせる場合、うち1色が違うだけでまったくの別物になりますし、同じ色あわせであっても、配置する箇所が異なるだけで別の印象を持たせることもできます。

色は好みなので、一人一人好きな色や、言葉では説明し難い配色のツボがあると思います。
無限の色あわせの中からただ一つを選び出して製作した作品が、誰か一人の、好みのツボに合致すればいいなと思いながら製作しています。

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Q3
kinakaさんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
神は細部に宿る、という言葉です。

学生時代に出会った言葉で、物事の小さなことをおろそかにしてはならない、細部にこだわってこそ、本質が決まる、というような意です。

手仕事をする上で小さなことや見えない裏側など、細部にこだわるのは当たり前ですが、
いつもこの言葉に恥じない仕事をしなければと、初心を忘れないよう大切にしている言葉です。

また、大枠があってこその細部だと思うので、狭い範囲での作業だけでは狭くなりがちな視野を狭めないようにと、戒めの言葉でもあります。

作品画像③アップ

kinakaさん。キナカ、とお呼びします。
ビーズバッグは、私の子供のころに和装のバッグとしても珍重されていた記憶があります。
どこかゴブラン織りのような落ち着いた華やかさもあって、独特の美しさでした。

kinakaさんは、うんとお若いので、昭和40年代のビーズバッグはご存知ないと思うのですが、
今の装いの中で素敵に使いたいデザインで制作されています。
こまやかな手仕事、ぜひ実際にお手に取ってご覧になってみてください。

作品画像①マツ

kinakaさんの出展場所は、galleryらふとを参道を挟んだ旧和風庭園の中。
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sou 金属装身具 沖縄

Q1
沖縄で制作する仲間秀子さん。
souという工房名で作品を発表されています。

souさんは、「工房からの風」にどのような作品を出品なさいますか?

A1
日々の生活中で、シンプルでさりげなく身に着けられるような、
真鍮とsilverを中心としたアクセサリーをご用意させていただきます。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
沖縄本島の最南端に建てたatelier兼shopの大きな窓から見える、
青い海と空、夕暮れ時の夕日はとても綺麗で、一番落ち着く大好きな場所です。
海が見える大きな窓を作ったきっかけは、海が大好きだった義父の案でした。

「いつかここに、海の見えるatelierをつくりたいね」と病室で幾度も、義父と夢を語りあったことを鮮明に覚えています。
義父が亡くなってから、7年目にようやくopenに至りました。

私にとって、とても大切で心地よい場所です。
いつか、皆さんにも足を運んで頂けたら嬉しいです。

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Q3
souさんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
幼少期から、こと洋服が好きで、スケッチブックに沢山の洋服のデザイン画を書き溜め、
いつかファッションデザイナーになりたいと夢見ていました。
実際は、美容師になりましたが巡り巡って、気が付くと洋服を縫っていました。

服の展示販売をしていた時に、30くらい年上の女性に出会いました。
彼女のアクセサリー使いや生き方に魅了され、気が付けばアクセサリー作家としてスタートしていました。

彼女と出会うまでは、歳を重ねるとおしゃれが楽しめなくなると思っていましたが、
今では歳を重ねることのほうがおしゃれが楽しめると思うようになりました。
大切な友人でもある彼女の生き方や装いを目標に、楽しみながら歳を重ねていけたら素敵だろうなと思います。

作品1

海の見えるアトリエ。
沖縄言葉のアクセントがすっかり板についている仲間秀子さんですが、ご自身は関東がご出身。
けれど、縁を得た沖縄の地で、縁を結んだ方々との想いを叶えて美しい工房を持たれて。
その幸いの中での制作、すばらしいですね。

シンプルなかたちの中にある洗練や誠実な造りが、結局は一番好き。
と語られていた言葉がミーティングの時に心に残りました。
ひと目見るだけではなく、手に取り、合わせ、そのシンプルな姿をじんわり味わうように感じていただきたいと思います。

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souさんの出展場所は、おりひめ神社脇。
お隣はフェルトのKUUSI6さん。

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二川 修さん 陶芸 大阪

Q1
二川さんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A1
2色の釉薬のみを使ったありふれた器たちです。
先人たちの手で研ぎすまされてきた「器」は道具として完成系に近いのかもしれませんが、
いかにしてその中に自分の意思を受け入れてもらえるかを考え、取り組んでいます。

釉の表情を活かすことのできる姿を探りつつ制作してはいるものの、
どこか隙のある仕上がりになってしまいます。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
グリーンカーテンに覆われた窓際のこの場所では型モノを作っています。

ろくろも多いですが、石膏型で作ることが自分の器作りの原点に近いこともあり、
節目ごとの作り始めにはまずはここに座って頭と 体をリセットしつつ、
徐々に温めていける場所になっています。

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Q3
二川さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
学生時代から主にオブジェを制作していましたが、地元・大阪でクラフトフェアの立ち上げに参加したことで 「暮らしの道具」を大切に選び、使い、そして作る人たちと出会う事ができました。
その出会いが自分の「もの作り」の原点を見つめ直すきっかけになり、器のみの制作となりました。

それ以前より、時々作った器を大阪のお店に見て頂いていたことも、大切な助走になっていたと思います。

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画像を見ていただいてもお分かりのように、
二川さんはすでにしっかりと制作を熟してこられた方。
工房からの風という空間では、
まさに個展を見せていただくような気持ちでお迎えしています。

A1で答えてくださったように、制作における器観も豊かな芯があり、
私などはその隙にこそ美があるように思ってしまいますが、
作家としては隙は狙ってすることではないから、
隙なく作ろうという思いはなるほど、とてもまっとうだと感じます。

それでもやはり、作ろうとしたわけではない何か、それが味だったりもして、
二川さんならではの器を構成しているんですね、きっと。
ひとつひとつが熟していながら、数がまとまったときに見えてくる何か。
そんなこともぜひ会場で感じてみたいと思います。
それには、早めにブースに行ってみないとですけれど。

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二川修さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜の真ん中あたり。
レンガ道に沿って広やかに展開される予定です。

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