2023年10月の記事一覧

「出展作家紹介/工房からの風」New

director's voice | コメントする

TSU ZU KU(革)

Q1
TSU ZU KU(ツヅク)という工房名で作品を発表している齊藤篤さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
TSU ZU KU(ツヅク)は、神奈川県鎌倉市で革の工房兼店舗として営んでいます。
使う方が「永く使い続けたい」と思える革ものたちを、「永く作り続けていきたい」という想いから私たちの屋号は生まれました。
主に日用品であるバッグ・お財布、カードケースなどの小物や仕事道具入れなどを製作していますが、今回はお財布を中心にご用意します。
イタリアの伝統的なバケッタ製法で鞣された革を使用した、しっとりと手に馴染むお財布を手に取って実感いただきたいと思います。

会場で並べるお財布は、使う方のライフスタイルを想像し、数種類のデザインで作ったものたちです。
コイン&カードケース、薄いお財布、子どもから大人まで使えるお財布、薄い長財布、収納力たっぷりの長財布。
様々な暮らし方が選択できるこの時代に直結するお財布を、ぜひお手にとってご覧ください。
また、作品一つ一つには愛着を込めて名前がついています。使い勝手や見た目、直感から名付けた愛称にもご注目ください。

できるだけ横幅の長さを抑え、お札がぴったり入るサイズにしました。
ポケットや仕切りが多く、収納力がたっぷりあります。また、蓋を開けるワンアクションですべてが見渡せるので、お会計がスムーズです。

手のひらサイズの薄いお財布。
キャッシュレス決済がメインの方や旅行などお出掛け用の財布として使いたい方に便利なお財布です。

クリスマスなどの贈り物用にはリボンをお付けしますのでお声かけください。

Q2
工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
一番先に思い付いたものは、「千枚通し」です。
革でものづくりを始めた時から20年以上経った今も、変わらず同じものを使っています。
接着、けがき等用途に合わせて使い分けて使用していますが、ほぼ毎日使うので製作には欠かせない道具です。
自分が使いやすい角度になるよう、先端部分を用途に合わせヤスリで整えて使っています。
どこの革工房にも必ずある、なんてことのない千枚通しですが、自分にとっては相棒のような存在です。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
フィンランドで作られたマグカップ「ククサ」です。
ラップランド地方で育った白樺の木の瘤をくり貫いて作られた手仕事に、どれだけ時間がかかったかと想像するだけで溜息がでます。
使って15年経ちますが、革同様に経年変化が楽しく、「自分だけの色」に育っていくところが特に気に入っています。

「永く使い続けたい」と思える革ものたちを「永く作り続けていきたい」
明解な想いを工房名、ブランド名とした齊藤さん。
今展ではお財布も充実させた展開になるそうです。

個人的にびっくりしたのは、12年来通っているcotonさんという美容室のオーナーのシザーケースを齊藤さんが作っていたと、この夏に知ったこと。

齋藤さんは、私がその美容室に通っていることをご存じなかったのですが、髪を切ってもらいながら、そのオーナーの方に教えていただいたのでした。

その方がアシスタントから独立した記念に作った20年物とのこと。
使いやすく、なくてはならないものとなったというシザーケースは、まさにTSU ZU KUのスピリッツを表しているようでした。

(この写真は稲垣のスナップです。)

TSU ZU KUさんの映像もインスタ版を公開しました。
こちらもご覧ください。
→ click

 

TSU ZU KUさんの出展場所は、コルトン広場、スペイン階段前
ホームページはこちらになります。
→ click

director's voice | コメントする

oceano(革)

Q1
静岡県富士市で〈oceano〉というブランド名で革の作品を制作する阿部洋太さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
革という素材を使うことによって出てくる素敵さや、可笑しみを大事にしてつくられた〈oceano〉の革製品を出品します。
〈oceano〉は阿部洋太がデザインから縫製、仕上げまでを手がける革製品のブランドです。

私が〈oceano〉の製品をデザインするときは、何か“ひとつ”の理由やモチーフをフォルムに溶け込ませています。
その“ひとつ”あるフォルムを持つ日用品は、どこか愛嬌や可笑しみを帯び、使い勝手の良い道具でありつつも日常に楽しみを与えてくれます。

“Wet-form”の帽子

革小物でよく使われる技法を大きな曲面で使うことで、不思議なフォルムを持った革製品という印象が生まれました。
革であることの可笑しみや素敵さを楽しめるモノを作っていこうという気持ちを込めて、この帽子を<oceano>の代表作としています。

“牛革”のオーナメント

折とカットで美しくも可愛らしい牛のフォルムを表現したオーナメント。

製作時にどうしても出てしまう革の端切れを利用するために作り始めました。
捨てるような端切れでも、造形を施すことで人々に大切にされる存在にできるということは、作家としての矜持でもあります。

私は手で物を作るのが好きで、それを生業にできたらとぼんやり考えているような人間でした。

デザイナーを志したり、鞄制作会社に勤めてもみましたが、どうしても自分でデザインから制作までを手掛けたくなって独立して作ったのが<oceano>です。
名前も革細工を始めたメキシコ滞在時の私の渾名からつけたもので、このブランド自体が私の作家としての姿となっています。

なかなかに自分勝手な活動理由ですが、好きなことをやるのであれば、そこに自信と誇りを持ってやろうという気持ちで日々製作しています。

Q2
oceanoさんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
革の裁断や手漉き、コバ処理などに使っている「革包丁」です。

私が革細工を始めたメキシコ南部の町では、質の良い道具が手に入りませんでした。
現地の革細工師に教わって、ペティナイフを逐一研ぎながら使っているような状態でした。

そんなおり、日本から遊びに来ることになった妻にお願いして、日本の革包丁を砥石と一緒に買ってきてもらったのです。
その切れ味の気持ちよさと言ったらありません。
すっかり気を良くして、その後の南米縦断に砥石とともに持っていくなどという、今思えばおかしなこともしました(南極帰りの革包丁を持つ人はそういないでしょう)。

この革包丁は革に関わるモノの中で、一番古くから私のそばにある大切な道具です。
私の作るものたちがこうして使い手と長く過ごせるよう、誠実に質の良いものを作る作家でありたいです。

Q3
oceanoさんのお手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
メキシコで手に入れた「鶏の鍋掴み」です。
メキシコ南部のインディヘナ達が織った布と、ざっくりした鶏のシルエットが可愛いですね。
滞在中にお世話になった叔母の家のキッチンで使っており、その街を離れるときにお土産として市場で買って帰りました。
ビジュアルが良いだけでなく、頭を摘んで持ったりと絶妙に使い勝手が良くて気に入っています。

今回、革で出展される作家は4名。
皆さん個性がはっきり立ち上がっていて、何をどのように作るかが明確です。
oceanoならではの感覚から生まれたフォルム、とても新鮮ですね。

また、メキシコにゆかりがあるとのこと。
「鶏の鍋掴み」に日々触れながら、彼の地で感じたsomething。
oceanoのものづくりのエッセンスに潜んでいるのかもしれません。

oceanoの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って右手に4つ並んだテント。
ホームページはこちらです。
→ click

director's voice | コメントする

enku (革)

Q1
東京都多摩市で制作をするenkuの原田賢一さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
藍の葉を発酵させたすくもと呼ばれる染料から藍を建て、天然の藍のみで染色し、様々な革小物を製作しております。

革はすぐには染まらない為に手のかかる素材ですが、一切色を足したりせず藍だけでここまで濃く染め上げております。
革も藍も天然素材ですので、二つとして同じ状態の物はありません。
それぞれの状態を見極めながら、一枚ごとに合わせて少しづつ工程を変えながら染色を行っております。
染料と時間をかけ徐々に色づき奥深さを増していく様は、革を育てているような感覚。
手がける時間が長い程、愛着も増していきます。

革というのは不思議なもので、同じものを作っても使い手により様々な表情に変化してまいります。
共に過ごした時間と共に愛着を増していく革が、より自然に近く温かみを感じるものであったらと思い作り続けております。

Q2
工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
この仕事を始める頃からお世話になっている、今は無き加賀谷刃物製作所さんの革包丁です。
職人気質が多い浅草周辺で、何も知らない若手にも刃物のイロハや研ぎ方など優しく丁寧に教えてくださいました。
革包丁以外にも道具の選び方を教えていただいたり、こんな道具があったらと相談すると、食い切りやケガキ、時には特注で製作してくれたフチ捻やヘリ落としなど用意していただきました。
今でも私の仕事を支えてくれている大切な道具達ばかりです。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
300年以上の歴史を持ち、東京都の伝統工芸品に指定されている江戸屋さんの「引き染め刷毛」です。
革に染料を馴染ませたり、型染のノリを落としたり、藍を落とす時や革を濯ぐ際など、私の染色工程に欠かせない道具として愛用しています。
今では親指と人差し指で握り、形も重さも心地よく感じるくらいに馴染んでおります。

藍が見事に染みついた頼もしい手。
布ではなく革を染めてのものづくり。
なかなか出会えない独自の展開を進めるenku、原田さんのお仕事です。

今回、12名の作家の制作光景を映像を編集したものを制作しています。
youtube版は少し長めで、インスタグラム版は短めに制作しました。
enkuさんも登場しているインスタグラム版はこちらになります。
→ click

工房からの風、当日のenkuさんの出展場所は、おりひめ神社、お社の裏手。
ホームページはこちらです。
→ click

director's voice | コメントする

藤田永子さん(金工)

Q1
都内で鍛金制作をされる藤田永子さん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
金鎚で叩くことによって成形された、温かみのある金属の生活道具を出品します。
他のアジアの国々やヨーロッパと違い、日本では金属器への馴染みが薄いように思います。
陶磁器や木製品、革製品などと同じように、金属は経年変化を起こす素材ですが、その経年変化はまた格別に趣深いものがあります。
古いものがお好きだったり、暮らしの道具を長く育てていくのがお好きな方に、是非ご覧いただきたいです。

私の作品の中で、金色をしているものは真鍮でできています。
食卓に華やかさをプラスしながら、和洋中問わず様々なテイストのテーブルウェアと馴染みます。
経年変化が特に美しい金属です。

もやもやと不思議な表情をしている銀色の器は、独自に編み出した技法を用いて表面に模様を描いています。
一見個性的ですが、意外とどんな食事とも相性が良いニュートラルな器です。
同じ模様は再現不可能なので、特に枚数多くご用意する今回の出展をご利用いただけたら幸いです。

特別な日に使いたくなるような、季節の花をいけることができるプレートや、どんな植物とも馴染みやすい花器など、花を飾るお品も色々とご用意しております。
使い方など気になることがあれば、是非この機会に直接お話しできれば嬉しいです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Q2
藤田永子さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
金属造形の道に入ったときに最初に取り組んだことは、自分の道具を作ることでした。
何本もある金鎚やタガネを、ひたすら削って磨いて持ち手を付けて、必要な形に仕上げていきます。
誰のものかひと目で分かるように、先輩たちと被らない色で目印を付けます。
私はオレンジ、たった二人の同期はピンクと赤でした。

大学を出た後も新しい金鎚や道具は増えていきましたが、一人で制作している現在は目印をつける必要もありません。
このオレンジ色のついた道具は自然と思い入れも強く、今後も長く愛用していくのだろうと思います。

問2藤田永子

Q3
藤田永子さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
これは非常に難しい質問でした。
毎日使う漆塗りの箸や食器、帰宅後に財布やパスケースを入れる竹の籠、玄関に飾られた書、見回せば作家さんのものに溢れているので、何を取り上げればいいのか非常に悩みました。

今回選んだのは、伊藤亜木さんの小さなグラスです。
予備校時代に母と共に訪れた益子陶器市で求めたお品です。
朝早く車で出かけ、帰宅後に母とお茶をしながら互いの購入品を眺めた午後の西日さえも記憶に残っています。
母とは数えきれないくらいクラフトフェアや陶器市へ赴きましたが、鮮明に記憶に残っているものはそう多くはありません。

「ものを作り、それを売って暮らしていく」その形を具体的にイメージし、目標としていくことのきっかけとなった日だったと、今思い返してそう思います。
暮らしの道具で、はじめて自分で買った作家ものだったかもしれません。
そういった思い出から、今回はこちらのお品を選びました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

藤田永子さんのお仕事については、20回展特設ページで
『朽ち行くものの美と通じ』
として、取材記事でご紹介しています。
是非、ご覧ください。
→ click

藤田永子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、中央、galleryらふとの近くです。
作家ページはこちらになります。
→ click

director's voice | コメントする

旅する羊(ホームスパン)

Q1
岩手県雫石町で、ホームスパンに取り組む「旅する羊」こと猪又裕也さん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
手紡ぎ手織りの毛織物・ホームスパンのマフラーを中心に出品いたします。
足踏み式の紡毛機で糸を紡ぎ、はた織機で手織りする伝統の製法で、一手一手ていねいに制作しております。
手しごとならではの、空気をふんわり孕んだ、軽くて温かい風合いをお楽しみいただけたら幸いです。

幅1200pixel_商品③_旅する羊

幅1200pixel_商品②_旅する羊

幅1200pixel_商品①_旅する羊

Q2
工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
自宅工房にて使用しているはた織機です。
ホームスパンの技術を1から教えて下さった盛岡の中村工房さんから授かりました。
先代の代表・中村博行さんに直筆のメッセージを頂きました。
岩手への移住を控えた2017年の暮れに突然訪問して以来、
文字通り家族の様に受け入れ接して下さり、惜しげもなく技術指導してくださいました。
そのおかげで今の私があり、感謝してもしきれません。
ホームスパンという文化を一人でも多くの方に伝え、次代に継承することが恩返しと考え、活動しています。
創作の要であり、いつも初心でいさせてくれる、かけがえのない恩師であり大切なパートナーです。

幅1200pixel_大切にしている道具_旅する羊

Q3
自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
富山県の桂樹舎(けいじゅしゃ)さんの八尾越中和紙の名刺用紙です。
旅する羊立ち上げ当初から名刺に使用させて頂いております。
柔らかな肌触りと豊かな厚みが特徴の和紙で、
東京の真映社さんに版を制作頂き、自宅で活版印刷をして名刺を制作しています。

和紙と活版印刷により凹凸のある楽しい感触が生まれ、ご挨拶の機会から話題を提供してくれております。
宮沢賢治の生前唯一の童話集『注文の多い料理店』が発刊され、
同氏が名付けた社名を今も守り続け、全国の工藝品を扱う盛岡の「光原社」さんにていつも購入し、愛用させて頂いております。

幅1200pixel_愛用工藝品_旅する羊

熱い想いを抱いて、千葉県船橋市から岩手県雫石町へ移り住み、ホームスパンというものづくりと、旅行業を両輪として活動を始めた猪又さん。
そのお仕事は、20回展特設ページでお読みいただけます。
→ click

旅する羊さんのブースは、おりひめ神社の鳥居のほとり。
ホームスパンのあたたかな布がはためくブースが現れますね。

作家ページはこちらになります。
→ click

director's voice | コメントする

松島周平さん(木工)

Q1
愛知県豊田市で木工作品を制作する松島周平さん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
本出展では、リム皿、ボウル、丸盆、高杯など、日々の営みから生まれたどんな料理も受け止めてくれる、軽く手に馴染み、
使うほどに味わいを増す、普段使いのうつわの他、スツール、ランプシェード、キャリーボックスを出品いたします。

オカモチ3

IMG_9309

389A0571

Q2
松島周平さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
祖父が戦後すぐに購入した、ガラスを取り付けるときに使っていた小型の玄能です。
お金がない時代に高価な代物だったそうで、特に大切にしていました。生前、自分が家具作りを始めた時に譲り受けました。
ものづくりが好きだった祖父の遺志を継いで、これからも大切に使っていきたいと思います。

IMG_9420

Q3
松島周平さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
家具作りに目覚めたきっかけともなった、ハンス・J・ウェグナーのアンティークのYチェアです。
佇まいの美しさと、「暮らしの道具」としての実用性を兼ね備えたYチェアは、自分が志すものづくりの指針でもあります。

IMG_9418

木工制作のほか、ご夫婦でカフェとB&Bを営む松島さん。
そのお仕事は、20回展特設ページでもご紹介しています。
→ click

松島周平さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、おりひめ神社の奥。
隣には、Anima uniさんのブースがあります。

作家ページはこちらになります。
→ click

director's voice | コメントする

かぜつち模様染工舎(藍染め)

Q1
静岡県伊豆市で、かぜつち模様染工舎を立ち上げた南馬久志さん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
手紡ぎガーゼストールやふきんやタオル、靴下などをお持ちしますが、中でも亜麻布や手紡ぎ木綿布に型染で様々な紋様を施した正藍型染布をご覧いただけると幸いです。

僕が手がける紋様は大きくわけて、
1.古代布の再現模様
2.自身のオリジナルの模様
の二つに大別しています。

1.は古くから綿々と続いてきた日本独自の紋様の再現をアーカイブ目的でおこなっています。

IMG_9872

koubou_resize_1_1200 (1)

2.はオリジナルの模様です。
写真の「草原の馬」という模様は 2.に分類しています。
僕の名前に「馬」という字が含まれる事から、馬という動物に昔から関心があり、コロナが始まる頃から何度も書き直している模様です。

今僕にはコロナの影響を感じる時代を早く駆け抜けて、健やかに生きたい想いがあるかも知れません。
藍染にも抗菌効果があると言われているので、実用を備えたお守りとして活躍することを祈っています。

IMG_9113

Q2
かぜつち模様染工舎さんが、工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
スキージと呼ばれるゴムベラの道具です。
型染は木ベラをよく使われるのですが、あえて僕はスキージを使います。

20歳の時に京都の染屋で修行していたのですが、その当時にお世話になった職人から頂きました。
かぜつちを始める前まで、10数年間、大切に保管していました。
丁稚奉公時代は手捺染によるシルクスクリーンプリントの配色やサンプルを、この片手ほどのサイズのスキージで見本をとるのが仕事でした。
当時は早朝から工房の中に入らせて頂き、色んな合成糊を用いた様々なテキスタイルの研究をした思い出は今も鮮明に覚えています。

シルクスクリーンから型染に変わり頭を打つことも良くありますが、当時の経験が助けてくれる場面も多々あります。

IMG_9135

Q3
かぜつち模様染工舎さんが、自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
大阪の高槻市の奥にある中の畑窯 佐藤夫妻の器です。
ご夫婦ともに沖縄の読谷村で修行を積まれ、地元高槻の土や薪を使い手仕事を行なわれています。
大皿や小皿、一人用の鍋や子供茶碗まで丈夫で収納しやすく、毎日の食卓で愛用させていただいています。
とても大変気に入っていますが息子が1歳になる頃、幾つか割れてしまったので新調したいなと思っています。

IMG_9141

かぜつち模様染工舎のお仕事は、20回展特設頁でもご紹介しましたので、ぜひご覧ください。
→ click

かぜつち模様染工舎さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、中央部、花壇の手前。
すぐ後方の花壇では、藍の花が咲きこぼれています。
藍染めの道具なども持ち込んでくださるので、見ごたえあるブースになることと思います。

作家ページはこちらになります。
click

director's voice | コメントする

亞人(藍染め)

Q1
沖縄県北部国頭郡で、琉球藍を栽培し、作品作りへと展開する亞人さん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
亞人の拠点の近くで採取した梶の木(琉球楮)を叩き染色した樹皮のオブジェや、木球を染色したモビールなどの亞人が思う空間にあった方がいいと思う作品を提案しています。
また、全てではないのですがインドの在来種のコットン生地や世界的にも技術が無くなりつつある手紡ぎ手織りの苧麻の生地を利用した風呂敷やバッグなど生活の布ものもご用意しております。
誰かの、たえること無く続いていく生活の中に亞人の《藍》が存在していたら幸いです。

Q1-2 (1)

Q1-1

Q1-3 (1)

Q2
亞人さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
生地を何回も染色し、その度に綺麗な水で洗っています。
藍染は生地(素材)に藍の色素が付着しており、余分についた色素を洗い落とさなければ次の染色の妨げになりやすいです。
生地を洗っているときは落ちてしまった藍色を見て「あ、もったいない!」という気持ちもありますが、生地(素材)に藍が、ちゃんと付着してくれた姿が見れる瞬間でもあります。
例えとして正しいのかは分かりませんが飼っている山羊が出産したばかりの膜を破った赤ちゃんの山羊を見ているような。。。毎回不思議な気分です。

Q2 (1)

Q3
亞人さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
沖縄では昔は家庭では当たり前に使われていたサギゾーキーという吊る下げ式の竹の食品保存籠。
カゴ類はやはり大好きなのですが下げるタイプになるので実用性も佇まいも美しい。
沖縄の工房スーラから藍の染料と物々交換した時のものです。
彼女にしか出せないワイルドな心がトキメク動きのある竹のラインがお気に入りです。

Q3 (1)

画家の祖父様の雅号、亞人を活動名とされた早瀬泉さん。
20回展特設頁でそのお仕事について記事がありますので、ぜひご覧ください。
→ click

亞人さんの出展ブースは、ニッケ鎮守の杜。
花壇の奥の藤棚の近く。(風人さんテントも近くです)

作家ページはこちらになります。
→ click

director's voice | コメントする

行方兵伍さん(キャンドル)

Q1
三重県鈴鹿市でキャンドル制作をされる行方 兵伍さん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
キャンドルを中心に蝋で製作した作品を出品します。
自分が生活の中で感じたちょっとした感動を蝋という素材を通して形にしています。
キャンドルの用途は火を灯すというシンプルなものですが、
その行為の中には、光の透け方や蝋の溶け方など多彩な美しさがあります。

火を灯すことで見えるキャンドルと蝋の美しさを感じていただければと思います。

 

nh (2)

nhQ2 (1)

Q2
行方兵伍さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
窓際に作った長い作業机です。90cm幅で3m以上の長さがあります。
スケッチから制作、流し込み、固め、加工などたくさんの工程のほぼ全てをここでこなせるようにしています。
今回販売する作品もこの作業机で製作したものです。
こぼした蝋や染料も染み込んでいるので綺麗とは言えないのですが、とても愛着があります。

nhQ1-1

Q3
行方兵伍さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
アトリエで使用している木製の椅子です。
父が製作したもので銘木を使っているわけでもないのですが、デザインがシンプルで使いやすいので愛用しています。

nh

キャンドルなどの蝋(wax)の作品を製作している蝋工家
と自らの仕事を名乗る行方兵伍さん。

惑星のような美しい蝋の作品など、新鮮に展開なさっています。

行方兵伍さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、おりひめ神社の奥の方。

作家ページはこちらになります。
→ click

director's voice | コメントする

Cimicuri(服)

Q1
山梨県北杜市で服の制作をするCimicuriさんは、工房からの風に、どのような作品を出品されますか?

A1
草木染や墨染の洋服を多数出展予定です。

cciq1-1jpg

草木染のレースブラウス。
素材は国産リネンをしておりとても肌触りの良い素材。
ロックミシンを使わずレースを挟み込んでいるとても手間のかかるブラウスをログウッドで手染めしています。

ciq1-2jpg

墨染のラップパンツ国産リネンを墨染しています。
巻きスカートに見えるパンツで実用的でおしゃれに見えるのでとても人気です。
水墨画の様な陰影がとても美しい墨染を是非手にとって観ていただきたいです。

ciq1-3jpg

草木染のワンピース。
厚手の国産リネンのを使ったワンピースです。
アンティークドレスを参考に作った存在感のあるワンピースは玉ねぎの皮で何回も染め重ねました。

Q2
Cimicuriさんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
八ヶ岳に移り住み衣食(お米づくりをしています。)住をなるべく自分の手で行いたい気持ちが湧いてきました。
住である住まいは16年前に古民家をリノベーション。
次はCimicuriの洋服が並ぶお店を自分の手で少しずつ建築中。
石を使いこだわりの詰まったこの空間がCimicuriの象徴的な場所でありお客様に気持ちよく過ごしていただける事を目指しています。

cmq2 (1)

Q3
Cimicuriさんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
愛用している工芸品は正太郎の裁ちばさみです。
職人さんが鋼から総手打ちで作り出された鋏は自分の手に馴染み、長い時間の使っていても疲れることがありません。

一本一本信念を持って作られた鋏を使い、自分も一着一着心を込めて裁断していきたいです。

cmq3 (1)

秋の空に映える洋服をたくさん制作くださっているようですね。
Cimicuri さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って、右側の4つのテントの一番中央部。
お隣は、革のYUSHI SOSHIRODA さんです。

作家ページはこちらになります。
→ click